iDeCo(個人型確定拠出年金)の概要とメリット・デメリットについて初心者向けに解説します!
老後資金2000万円と言われていますが、昔とは異なり退職金で賄える方は少ないと思います。公的年金も減少傾向にあり、今後も少子高齢化から続くと見込まれます。そんな中、iDeCo(イデコ)を検討されている方も多いと思います。まず概要から解説します!
確定「拠出」年金という言葉のとおり、毎月決められた掛金を支払う年金になります。裏を返すと年金受取時の額は決まっていない(保証されていない)ということになります。
<目次>
iDeCo概要
20歳から60歳になるまでの期間に任意加入できます。毎月掛金を支払い、60歳以降に年金もしくは一時金として受け取る事ができます。原則60歳以降受け取りという点が注意点です!
また国が推奨している制度のため税制優遇もあります。
税制優遇
大きく3点あります。①の節税額の目安、③退職控除については↓の記事をご覧ください!
③退職控除は通常、勤続年数で計算されますが、iDeCoを年金として受け取る際には、「掛け金を払っていた年数」で計算され、退職金と同時に受け取る際には勤続年数と比べて大きい方が採用されるのが特徴です!受け取り前に転職をしてもあくまで掛金を払っていた年数で計算されます!ただし、会社からの退職金と公的年金も含めた控除額であることには注意が必要です。
税制優遇ポイント
①掛金が控除されます!
→年間支払額が年末調整もしくは確定申告時に控除対象となります
②運用益が非課税!
→通常金融商品の運用益は課税対象(源泉分離課税20.315%)となりますが非課税
③受け取り時にも控除対象となります!
→年金の場合:「公的年金等控除」、一時金の場合:「退職所得控除」の対象となります
※②:特別法人税(積立金に対して年1.173%)は、現在課税が停止中(今後かかる可能性があります)
掛金限度額
毎月の掛け金には限度額があります。
掛け金の最低は5,000円からですが、手数料がかかるので10,000円以上がオススメです!
また掛け金は1,000円単位で設定可能です。
対象 | 上限月額 |
---|---|
自営業等(第1号被保険者) | 68,000円 |
公務員・私立学校教職員(第2号被保険者) | 12,000円 |
会社員(第2号被保険者) 企業年金あり(企業型確定拠出年金以外) |
12,000円 |
会社員(第2号被保険者) 企業年金あり(企業型確定拠出年金のみ) |
20,000円 |
会社員(第2号被保険者) 企業年金なし |
23,000円 |
専業主婦(主夫)等(第3号被保険者) | 23,000円 |
商品選択
ここが重要な点ですが、どのような商品を選ぶかが老後の資産を決めることになります。
(申し込むだけではなく自分で選択する必要があります!)
ハイリスク・ハイリターンの商品を購入してもいいですし、ローリスク・ローリターンでもいいです。また、1商品だけでもいいですし、商品Aは掛け金の10%、商品Bは掛け金の20%という風に選択することもできます。大きく2種類に分かれます。元本変動型は後ほどさらに解説します。
元本確保型 | 定期預金等 | ローリスク・ローリターン |
元本変動型 | 投資信託 | ハイリスク・ハイリターン |
定期預金に比べれば投資信託はハイリスク・ハイリターンですが、投資信託の中でもインデックスファンドは中程度のリスク、アクティブファンドはハイリスクかと思います!
ただし!iDeCoやNISAでは国民の資産運用のため国が推進していることもあり、比較的リスクが低い商品しかそもそも選択することはできません!ですので、それほど恐れる必要はありません。もしろ手数料がかかるので定期預金では逆に元金割れの可能性が高いです^^;
また、取り扱い金融機関(銀行、保険会社、証券会社等)をどこにするかによっても選択できる商品が異なります。
手数料
どの金融機関を選べばいいか分からないという方に、上記の商品バリエーションもありますが、その他の判断基準として手数料があります。税制優遇はあるものの手数料があるので、よく考えないと資産形成になりません。。主な手数料は3点です。
種類 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
初期費用 | 2,829円 | 初回のみ。主要な金融機関は ほぼ同額です。 |
口座管理手数料 | 171円~629円 | 毎月かかるので安い金融機関が オススメです。国民年金基金連合会・事務委託先金融機関に関する費用です。 |
運営管理機関手数料 | 0~400円程度 | 金融機関毎に異なります。 |
種類 | 費用 | タイミング |
---|---|---|
資産管理手数料 | 66円 | 毎月 |
運営管理機関手数料 | 357円 | 毎月 |
給付事務手数料 | 440円等 | 1回あたり |
税制優遇ばかり取り上げられやすいiDeCoですが手数料はかなり多いことが分かったかと思います。毎月かかるので、「口座管理手数料」は171円、「運営管理機関手数料」は0円の金融機関を選んだ方がいいですね!
最低毎月、171円ですか!?
毎月の掛け金からすると結構大きな額ですね。。
受け取り方法
何れか選択ができます!
①一時金として一括受取
→原則60歳から70歳の間に受け取れます
②年金として受取
→原則60歳から5年以上20年以下の期間で運営管理機関が定める方法で受け取れます
③①一時金と②年金
→原則60歳時点で一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る支給方法を取り扱っている運営管理機関もあります。※扱っていない場合もあります
↑で原則60歳という書き方をしましたが、加入期間により開始年齢が異なります。
加入期間 | 受給開始年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1年以上2年未満 | 65歳 |
原則60歳ということは60歳前でも受け取れるのですか?
一定以上の障害状態になった場合や加入者等が死亡した場合は、60歳前でも、障害給付金や死亡一時金を受給できますよ。
メリット・デメリット
概要は理解できたと思いますので、iDeCoのメリット・デメリットをまとめていきます。大きくは以下2点かと思います!
メリット | デメリット |
---|---|
税制優遇がある (控除対象・非課税) |
手数料がかかる (元本割れする可能性もある) |
老後資産形成ができる | 毎月の支出額が増える (60歳まで引き出せない) |
年金受取時の税金について
年金は所得税では「雑所得」として扱われ、公的年金と合算して公的年金控除の対象となります。つまり年金額によっては税金がかかります。公的年金を含む雑所得以外の合計所得金額により異なりますが、一般的なサラリーマンであれば1,000万円以下かと思いますので、その場合には↓が適用されます。
※65歳未満であれば60万円以下、65歳以上であれば110万円以下は所得0となり税金はかかりません。
年金の所得税計算方法
年金受取人の年齢 | (a)公的年金等の収入金額の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 |
---|---|---|---|
65歳未満 | 600,001円から1,299,999円まで | 100% | 600,000円 |
1,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
7,700,000円から9,999,999円まで | 95% | 1,455,000円 | |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000円 | |
65歳以上 | 1,100,001円から3,299,999円まで | 100% | 1,100,000円 |
3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
7,700,000円から9,999,999円まで | 95% | 1,455,000円 | |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000円 |
年金税金額(例)
年金にも税金がかかる事があるのですね!?
住民税もかかる事があるので注意ですね!
商品の選び方
ここまで読み進めて、やはり60歳までの資金に余裕があるが老後資金については不安という方はもう少し解説していきます!金融機関は先に記載したとおり、手数料が安い所(毎月の手数料は171円のみ)として、商品の選び方は投資をした事がない人にとっては非常に難しいと思います。「eMAXIS Slim 米国株式」「全世界株式インデックス・ファンド」等、、何を言っているのか分からないと思います。商品自体はたくさんあるので、どのような種類があるかについて解説していきます!
投資では長期・積立・分散投資が良いと言われています。iDeCoの場合、基本的に毎月掛金が発生するので積立は必ず実施されます。
商品種類
定期預金<債権<株式、さらに国内<国外の方がリスクが高いです。また、国内外を含めたものや、↓リスクの大きさ2~5を含めたバランス型、先進国・米国などに特化した株式・債券と様々あります。
リスクの大きさ | 種類 | 分類 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 元本確保型 | 定期預金等 | 定期預金等 |
2 | 元本変動型 (投資信託) |
国内債券型 | 日本の公債や国内企業の社債に投資 |
3 | 外国債券型 | 外国の公債や外国企業の社債に投資 | |
4 | 国内株式型 | 日本国内の企業の株式に投資 | |
5 | 外国株式型 | 外国の企業の株式に投資 |
たくさん商品はありますが、大きく分けると上図のとおりです。その中でリスクを加味して、毎月の掛け金で商品Aは30%、商品Bは30%、商品Cは40%のように資産配分します。1つに絞ってもダメではありませんが、投資では大きな損失を避けるため、分散投資が基本です。商品Aの価格が急落しても全体として影響を抑える事ができます。
資産配分見直し
1度資産配分を決めたら、それで終わりではありません。定期預金であれば変わりはないですが、債券や株式は都度変化するため、資産が増減します。投資では多少変動があっても長期運用することで複利効果により元本を増やしやすくなります。ただし、あまりに損失が続く場合には毎月購入する資産配分を見直す必要があります。そのため、定期的に運用実績を確認することをオススメします!
資産配分の割合
一般的に若い頃はリスク高めで(価格を増やす)、60歳近くではリスク低め(価格が減らないように)と言われています。我が家でも海外株式メインです。また、リスクを抑える事から元本保証型100%が良いと考える方もいるかもしれませんが、あくまで手数料を考慮しない元本保証のため、あまりオススメはしません(手数料を考慮すると元本保証されない可能性があるため)
どうしてもリスクを取りたくない方(元本保証メインでiDeCoを考えている方)には生命保険の個人年金がオススメです。基本的に増えますし、配当が出る保険会社もあります。iDeCo(掛金全額)ほどではありませんが、最大4万円の生命保険料控除もあります!
運用結果
一番気になる実際にどうなのか!?という所ですが、我が家では毎月1万円の掛け金で100%海外株式でiDeCo実施中です(現在2年目)
気になる結果は!?…数千円のマイナスです。。これが現実と言いますか^^;
ただし節税効果は間違いなくあります。昨年は所得税が2万円程度還付されました!(住民税も同額想定)
何が言いたいかというと、↑でも書きましたが、長期運用が大事ということです。まだ元本・期間も少ないため複利効果が得られていないため、手数料分が多く当然の結果かと思っています(コロナの影響もありますが)。
いつから加入すべきか!?
長期運用の観点から早く加入した方が良いのか?という点についてですが、まずは、年単位(100歳まで)の家計簿を作成して、せめて60歳までの収支が見通してからをオススメしています!
年単位(100歳まで)の家計簿が分からない方はこちら↓
↑の記事でも書いていますが、残高がマイナスになってはいけません!そのため、マイホームの購入やこどもの教育資金について検討が出来ていない(将来のおおよその見通しがついていない)場合、まだ加入しないことをオススメします!iDeCoは原則60歳まで引き出せないこと、口座管理手数料等がかかることから容易に始めるのはリスクがあります。